大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和32(あ)1942 判決

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

弁護人佐々野虎一の上告趣意について。

所論第一点は、原審が控訴趣意書提出最終日を経過した後に弁護士横山義弘を国

選弁護人として選任したため同弁護人が控訴趣意書を提出することを得なかつたの

は、憲法三七条三項に違反し弁護権の行使を不法に制限したものであると主張する。

所論について記録を調べてみると、被告人は、昭和三二年三月二三日原審から弁護

人選任に関する通知書並びに控訴趣意書提出最終日(同年四月二三日)の通知書を

受け取り、同年三月二六日付(同月二九日受理)回答書をもつて、弁誰人は私選す

る旨原審に回答し、次で同年四月二二日付(同月二三日受理)被告人作成名義の控

訴趣意書を提出したばかりで、結局私選弁護人の選任もしなければ、また国選弁護

人選任に関する申出もしなかつたのである。そこで原審は同年五月二一日職権で国

選弁護人選任の手続をとり、同月二八日弁護士横山義弘を国選弁護人として選任し

たのであつて、同年五月二九日の原審第一回公判期日には、被告人及び右国選弁護

人横山義弘の双方出頭し、同弁護人は、被告人名義の控訴趣意書に基いて弁論し、

被告人、弁護人共に何らの異議を止めずして弁論を終結したことが認められる。こ

のような経過においては、裁判所の国選弁護人の選任が控訴趣意書提出最終日を過

ぎたからといつて、なんら裁判所の責に帰すべき事由はなく、被告人の弁護権を不

法に制限したことにならないことはもちろん、従つて憲法三七条三項に違反すると

ころもない。このことは当裁判所の各判例の趣旨に徴し明らかである(昭和二五年

(あ)第六四三号同二五年一一月二日第一小法廷決定、集四巻一一号二二一一頁。

昭和二五年(あ)第一三九五号同二六年一一月二〇日第三小法廷判決、集五巻一一

号二四〇九頁。昭和二五年(あ)第二一五三号同二八年四月一日大法廷判決、集七

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巻四号七一三頁各参照)。

所論第二点は違憲をいう点もあるが、第三点の所論とともに結局は事実誤認及び

量刑不当の主張を出でず、刑訴四〇五条の上告理由にあたらない。

被告人の上告趣意について。

所論は違憲をいう点もあるが、その実質は事実誤認及び量刑不当の主張に帰し、

刑訴四〇五条の上告理由にあたらない。

また記録を調べても同四一一条を適用すべきものとは認められない。

よつて同四〇八条、一八一条一項但書により裁判官全員一致の意見で主文のとお

り判決する。

昭和三二年一〇月二九日

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 小 林 俊 三

裁判官 島 保

裁判官 河 村 又 介

裁判官 垂 水 克 己

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